2013年01月31日

写真展の打ち合わせ

Takeshima2 1979,福島県西会津町.jpg
先週、東京で写真家の竹島善一と展覧会の打ち合わせをした。昼過ぎに日産の銀座ギャラリーで待ち合わせ。少しばかり車の話をする。彼は77歳だが、18歳のころから車を運転している。今でもときどき、福島県の会津まで往復700キロくらいは走るそうだ。

竹島とは10年以上前からの知り合いである。昨年9月、東京・青山で写真展を開いたときに会っているので、4か月ぶりだ。近くのビアホールに移り、ビールを注文して写真の話を始めた。テーマは彼のライフワークである「会津」。一つの地域を集中して撮影している写真家は少なくない。たとえば木村伊兵衛は秋田で有名だ。1952年から71年にかけて21回通っている。それだけ通ったからこそ写真集ができた。

ところが竹島の場合、奥会津への入り方が「よく通った」というレベルをはるかに超えている。江戸っ子で会津には縁もゆかりもないというのに、70年に初めて行って以来、40数年の間に訪れた回数が1000回以上。出版社に依頼されたわけでもなく、毎回自発的に東京から奥会津まで出向いている。交通費だけでもいくらかかるのかと、余計なことまで考えてしまう。地元の人にも「会津ってそんなに素晴らしいところなのか」「それだけの価値があるのか」と、しばしば聞かれたそうだ。それに対する答えは「美しいから行くのではない」と素っ気ない。

会津といっても竹島が撮影するのは農村の風物や人物である。今なら大河ドラマ「八重の桜」の効果もあって、鶴ヶ城はじめ観光地が注目されているが、観光地には目もくれない。「評価が定まっているものを、ぼくが追確認したってしょうがないよ」と、彼は言う。農村の写真はアートではないかもしれないが、価値を掘り起こすという姿勢はアートである。竹島の話が熱を帯びてきた。(続く)
posted by Junichi Chiba at 23:35| 写真