2013年12月06日

対馬で出合った古代信仰

多久頭魂神社.jpg
今月初め、伊東敏光の彫刻を見るため対馬(長崎県)を訪れた。日本と韓国の間に浮かぶ国境の島である。博多港から高速艇で2時間15分であった。釜山からだと1時間10分ほどで料金も安いため、観光客のほとんどは韓国から来ているそうだ。事前には「風光明美な観光地」くらいにしか思っていなかったのだが、実際に島を巡ってみると、古くからの信仰が各地に息づいていて島への認識を新たにした。

印象深かったのは、南西部の豆酘(つつ)にある多久頭魂(たくずたま)神社である。港のある厳原の市街地から車で約40分。ここの森は太陽神神話に基づく天道信仰の聖地といわれる。本社の奥にある大きな楠だけでも聖地の雰囲気を醸し出していた。高さ30メートルはあるという大木を見上げると、なぜか、中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイの作品「Iron Tree」を思い出してしまった。

案内板には「『日本書紀』に対馬下県直(しもあがたのあたい)が祭る高皇産霊神(たかみむすびのかみ)に神田を献上した記事がある」と書かれている。近くには神事に使う赤米の田もあり、米と関係が深いのだろう。余談だが、本社の手前に橘(たちばな)の木があるのを、同行した某画廊のYさんが見つけられた。筆者が橘画廊の経営者だから「困難なことがあったらここに来てお参りしなさい」とも言っていただいた。

八町郭.jpg
多久頭魂神社の近く「浅藻の八町郭」は地元の方に案内していただかなければたどりつけないところにあった。原生林の中を歩くと、崩れかけた鳥居の向こうに、石積みの塔、というよりもピラミッド状のものがあった。天童法師の墓であると聞く。鳥居の手前から靴を脱ぎ近づいて参拝し、お尻を向けないように後ずさりして鳥居の前まで戻る。ここは、今までに見たことのない古代信仰の聖地であった。
posted by Junichi Chiba at 22:00| 日記