
デザイナーの高橋善丸さんに依頼して、橘画廊のロゴを新しくつくった。漢字の「橘」をマークとしても使えるようにしたのが特徴だ。「ぬけ」のある感じで、今のところ「かわい〜」という反応が多い。名刺をお渡しするのが楽しくなった。
高橋さんは大阪フィルハーモニー交響楽団のマークなどをつくった方である(代表作はほかにたくさんあるが、私はそのマークが印象に残っていた)。今回はやはり「橘」のデザインが難しかったと、おっしゃっていた。文字を構成する要素の性格がバラバラだからである。高橋さんは「ぬけ」をつくることで、そのへんの問題を解決しつつ、親しみやすさを出してくださった。現代アートを販売するギャラリーだから、若さ、成長性といったイメージが表現されているのもうれしい。
数人に感想を聞いたら、「橘」の木偏(きへん)の部分は南の国に生えている木みたいだとか、つくりの部分は絵文字の顔みたいだとかと言われた。漢字文化圏以外の人には読めないとしても、かろうじて漢字だとはわかるのではないか。英文表記と組み合わせれば、東洋のどこかのギャラリーなのですね、くらいには思ってくれるだろう。
そもそも漢字をマーク化するというのは高橋さんのアイデアであった。Tachibana Galleryの頭文字のTを図案化するとか、TとGを組み合わせて図案化するのは安直だし、効果がないと思われたようだ。たしかに頭文字がTの会社など山ほどあるから、できたばかりの会社がアルファベットだけで認知されるはずもない。漢字をマークにするのは冒険だとしても、冒険できるのがベンチャーの強みである。
ちなみにロゴに使っている色は藍の一種。後で調べたら、中国の敦煌壁画に使われた色であることがわかった。このへんは伝統的なのである。
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