三日三晩たっても回復の兆しが現れないため、秋葉原の専門業者にPCを持ち込んだ。有料で検査してもらったところ、ハードディスクドライブ(HDD)の円盤表面の磁気が弱まっているのではないか、とのことだった。実は、専門業者にPCを持ち込む前に、東芝ファイルレスキューという復元ソフトを使って、HDDからデータを救助しUSBメモリにバックアップデータを保存したつもりでいたが、業者のPCにUSBメモリを挿しても、救出したはずのファイルの目次が表れず、「たぶん救出できていない」と言われてしまった。
経年劣化なのか何なのか原因はわからないが、ハードウエアが故障している以上、PC自体はあきらめるしかない。あとは業者に依頼して、HDDからデータを救出できればラッキーといったところだ。PC以外の記憶装置にデータのバックアップをとっておくか、クラウドにデータを上げておけばよかったのだが、ある時期以降、それを怠っていた自分が悪いのだ。
業者に行った帰りはかなり落ち込んだ。しかし、ほとんどあきらめてはいたものの、ファイルレスキューで救助したデータを新しいPCで読み込むことができるかもしれないという楽観的な予測というか期待がわずかに残っていた。そうした期待もあって、すぐに家電量販店に寄り、新しいノートPCを購入した。
結論を言えば、その日の夕方、新しいPCにUSBメモリを挿し、100%ではないにせよデータを復元することができた。ファイルレスキューというソフトはデータを元の形で記録するのではなく、ファイルレスキューの形式で記録するため、形式を復元する必要があるらしいのだが、それができたのだ。自分にとっては奇跡的な出来事に、うれしいというより驚いた。
新しいPCでデータの復元に成功した後、試しに古いPCの電源を入れてみると、メーカーのロゴが画面に出たまま止まってしまった。ファイルレスキューでデータを救助したときがまさにご臨終だったのだ。新旧のPCを見比べると、新しいPCのかたわらでエンディングを迎えた古いPCの画面が一瞬、ほほ笑んだように見えた。映画「スター・ウォーズ」で、(神秘的なエネルギーを持つ)ジェダイのオビ=ワン・ケノービがダース・ベイダーに殺される直前に笑顔を見せたシーンが頭に浮かんだ。
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