
昨日、3331 Arts Chiyodaの開館6周年記念セレモニーとパーティーがあった。特に変わったことはなかったが、あいさつに立った統括ディレクター、中村政人さんの口から一つ、衝撃の数字が飛び出した。2015年度の来場者数85万9935人というのがそれだ。えっ、85万! まじですか? というのが率直な感想であった。
中村さんによると、前年度比で10万人増加し、国立西洋美術館の75万3000人や森美術館の84万7000人を上回った。3331の場合、1階の入口を通過した人をカウントしている。一部に有料のイベントがあったとしても、建物に入るのはフリーなのだから入場者が多いのは当たり前ともいえるが、それにしても大変な数である。外部に施設の命名権を売れるレベルではないか。
年間85万人ということは1週間当たり(おそらく週末中心に)1万6000人以上。地方のアートフェアなら、金土日の3日間で入場者が千数百人である。東京でも1週間に1万6000人が集まる文化施設やイベントがどれくらいあるだろうか。そう考えると、古い建物をリニューアルしてこの結果なのだから、集客の面では大成功と言ってよいだろう。
しかし、その建物の2階にいるギャラリーの経営者としては、この数字をどう解釈したらよいのか、簡単には整理がつかない。中村さんによると、来場者が増えた主な要因はイベントの増加である。たしかに、週末、サブカル系のイベントがあった日には廊下に人があふれている。ただ、そうした人たちはアートに興味があるわけではない。皮肉な見方をすれば、この先、そうしたイベントがどんどん増えていったときに、3331はアートセンターと呼べるのか、という問題が出てくるはずだ。
逆に、たくさんの人が来るのだから、その中からアートに興味を持つ人を開拓すればよいという意見もあるだろう。まず注目度を高めること、集客の分母を増やすことが先、という考えである。こうして、あれこれ考えるきっかけになるほど、「森美術館を上回った」という数字の衝撃は大きかった。画像は開館6周年記念イベントでのレーザーショー(10月8日、3331 Arts Chiyoda)。
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