伊東敏光のデカい飛行機型彫刻の最新作が完成した。タイトルは「Miyajima787」(写真上、2016年、木、400 x 430 x 147 cm)。「AA60」「飛行景―廃船の夢―(英語ではFlightscape − Dream of the Ruined Boats)」に続く、3号機だ。東京芸術大学大学美術館陳列館の「彫刻―気概と意外」展で、10月10日まで展示されている。
「Miyajima787」のモデルはボーイング787である。飛行機の形をフレーム代わりにして、その中で風景を表現するというコンセプトは以前と同じ。飛行機は文明の利器の代表であり、イデオロギーが入り込みやすいモチーフだが、伊東にとって飛行機はあくまでも「枠」の位置づけだ。「AA60」は米国南西部、 「飛行景」は対馬、「Miyajima787」は名前の通り広島県の宮島の風景を表している。

2番目の写真の「AA60」(12年、木、石、406 x 412 x 160 cm)、一番下の写真の「飛行景」(14年、木、390 x 400 x 140 cm)と同じく、古材の表情が味わい深い。ただ、ごつごつとした「飛行景」と比べると、かなりすっきりとした印象だ。材料をカットして整えているからだろう。
2017年にはこの3点のうち2点を同時に展示する機会がありそうなのだが、夢は3点を並べて展示することである。大きな飛行機型彫刻を3点そろえたら、それだけでもわくわくするではないか。どこか、こうした企画に乗ってくれるところがあればと思っている。
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