
8日、橘画廊でグループ展「Dancing in September」が始まる。出展作家はいずれも30代前半の田中加織、刀川昇平、芝田知佳である。このうち一番遠くの広島から搬入に訪れた刀川昇平は昨日、絵画教室の自分の生徒に向けてスマートフォンのビデオ通話で展示の様子を発信した。いつも勤務先の絵画教室では先生としての姿を見せているが、自身が現役のアーティストであることも見せておきたかったらしい。
「先生は今、どこにいるでしょうか」「東京!」「正解!」。そんなやりとりからは、7年続いたという先生の仕事が板についていることがうかがえる。まだ作業中だった展示室の中だけでなく、3331の廊下や水飲み場も映して、この場所が元学校だったことも紹介した。その後は「いつも葉っぱ見ながら描いているんだよ」と言って作品にぐっと近づくなど、(スマホ一台で)多彩なカメラワークも発揮した。
実は刀川は4年前の個展のときも、自らの展示をSkypeで「生放送」していた。そのときは子どもたちへの年末のあいさつということもあって、ディレクター兼カメラマン兼レポーター兼出演者のアーティストとして張りきっていた。今回、「生放送」の手段はSkypeからFace Time(iPhoneのビデオ通話機能)へと変わったが、作業はほとんど同じである。4年前と違って、子どもたちがこうしたテレビ電話みたいなものに驚かず、なじんでいるように見えたのがむしろ驚きだ。
子どもたちは幼稚園児、小学生、中学生の3クラス。おそらく年長の中学生でも展覧会の内容にまでは興味はないだろう。しかしスマホの画面越しであっても刀川の熱意を感じた彼らは「よくわからないけれど、先生はがんばっているんだな」という印象を持ったのではないだろうか。「Dancing in September」は10月1日まで。
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