2016年07月07日

「死を育てる」と「死を想え」


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昨年、橘画廊(当時大阪市)で個展「循環+LOOP」を開いた韓国のアーティスト、ダニエル・リーが3331 Arts Chiyodaにやってきた。クムサンギャラリー(ソウル)からART OSAKA 2016に出展した後、本業の霊園事業の仕事もあって東京に来たそうで、新しい橘画廊で開催中の加茂昂展「土に死を生ける」を熱心に見てくれた(写真左がダニエル・リー)。

作品について説明してほしいと言われ、いくつか説明を試みた。作秋、加茂がアーティスト・イン・レジデンス(滞在制作)のため青森に行ったとき、地面を覆う雪の丸くとけた部分が棺の中で花に囲まれた顔とオーバーラップしたこと。ヒトとチンパンジーの共通の祖先から加茂の父親、そして加茂本人へと死の連続を表現していること。23枚の油彩画それぞれが独立した作品でありながら、23枚を組み合わせたインスタレーションとしても一つの作品として成り立っていること、などなど。

その中でリーが興味を持ったのは、油彩画23枚を重ね合わせる展示方法であった。映画では短いショットをつなげてイリュージョンを生み出すモンタージュの技法があるが、モンタージュの絵画版と言ったらよいだろうか。しかし映画と違って、このモンタージュは四角い枠に収まらず、見る側に編集の余地を残している。人の顔、花、雪、空などのイメージを交錯させるだけで、モノとして一体化させないという展示方法がやはり面白かったようだ。

インスタレーションの作品名は個展のタイトルと同じ「土に死を生ける」(英語ではDeath grows in the soil)。私の説明で加茂の「死を育てる(nurturing death)」という考えが正確に伝わったかどうか心もとないが、「Memento mori(死を想え)」をテーマに制作しているリーは親近感を覚えたようだ。加茂昂展は7月23日まで。
posted by Junichi Chiba at 13:24| アート